<目次>
1. はじめに
2. ブエノスアイレスのコロナ状況
  • 街の様子
  • 観光客と入国問題
  • タンゴの今
3. インフレ問題
  • 2021年のインフレ率が58%
  • 期待される小麦の生産は?
  • 石油がない?!地続き問題で品物が無くなる?
4. まとめ

1.はじめに

今回は、冬の訪れを感じるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスから、これから旅行を検討されている方に現在の街の状況や問題をご紹介します。
毎年、世界中からタンゴ愛好家をブエノスアイレスに集めるアルゼンチンタンゴ世界選手権が開催されます。今年は9月開催予定。
私の周りからもブエノスアイレスの今の状況を知りたい、という声を頂いたので、今回は現在の街の様子を書いていきたいと思います。
タンゴ愛好家の方もタンゴに関係なくアルゼンチンを旅行したい方もおさえておきたい街の現状です。

2. ブエノスアイレスのコロナ状況

街の様子

日本はコロナの状況が一段落したでしょうか?
アルゼンチンでは、2020年3月から11月までの8ヶ月間外出禁止令が出て、食料品の買い付けや病院といった有事の際にしか、家から外に出れない期間を経験しました。
レストランやカフェは長期間店を開けられず、失業した人も多くいます。
我慢しきれなくなった国民が何度もデモを起こし、そしてほぼ強引に国民がクアレンテイナ(外出禁止令)を終了する方向に持っていったような終わり方でした。
コロナ感染者の推移は、空港の開放状況や休日の過ごし方により急増したり、安定したりを繰り返しましたが、2022年6月現在、ブエノスアイレス市内はほぼコロナ前と変わらない日常を過ごしています。
マスクの着用に関しては、2021年10月の段階で店舗や劇場、レストランといった室内に入る際は着用を義務化していますが、2022年6月時点でブエノスアイレス自治区内は屋内でのマスク着用も本人の判断に任されています。
ブエノスアイレス自治区はブエノスアイレス州や国から独立した方針をとっているため、他州や自治区意外での外出はマスクの着用について確認が必要です。

観光客と入国問題

現在、世界中の観光客を受け入れています。
心配されていたワクチンパスポートは不要。現在は陰性証明も不要です。(※1)
2022年4月からは、観光の場合でも
  • 出国48時間前にオンラインでの宣誓供述(DDJJ)
  • 新型コロナウイルス感染症対応の医療保険への加入
の二つがコロナに関する入国対策になります。

(参照: JETRO「新型コロナ感染状況が改善、入国条件をさらに緩和、陰性証明書の提示は不要(アルゼンチン)

(※1)状況は随時変わります。必ず渡航される本人が再度状況をご確認ください。

タンゴの今

初めて会った相手とも、気持ちが合えば抱擁して踊るアルゼンチンタンゴ。

タンゴ愛好家が踊るために集う「ミロンガ」では、室内であってもマスクを使用せず踊っている方がほとんど。ミロンガに来る人の中には、タクシーやバスの中ではマスクを着用してミロンガに到着したら外す人もチラホラ。
寒くなったブエノスアイレスでは、マスクもコートも防寒具のような存在。
タンゴ愛好家の海外からも入国しているので世界各地のコロナに対する集団抗体ができそうです。
アルゼンチンではワクチン接種率が高く、必要回数のワクチン接種率は国民の80%を超えています。
「ワクチンを打っておけば重症化しないからもう大丈夫。」
というアルゼンチン人独特の理論のもと、ここでは、コロナが過ぎ去った災いになりつつあります。

インフレ問題

2021年のインフレ率が58%

アルゼンチンは世界で5位、南米ではベネゼエラに次いで2位のインフレ大国です。
政治家がこのインフレを緩和させるため、あの手この手と施策を行なっていますが、変わらずますますインフレは進んでいます。
当初、2022年の年間インフレ率を50%に抑える計画を立てていましたが、6月の段階で着地予測が58%。これから半年の間にまた問題があれば60%を超えて来るかもしれません。
毎月、5〜6%の物価が上昇します。5%の上昇率としても100円のものが105円、110円、115円と毎月値上がり、12ヶ月で150円になります。
物の値段日々は上がりますが、給料は毎月5%も上昇しないため家計を圧迫しています。
家計を預かる主婦の痛いところ…

期待される小麦の生産は?

現在、ロシアとウクライナの戦争による小麦不足を南米大陸での小麦の生産で賄えるのではないかという期待が世界からかけられています。

アルゼンチンの肥沃な大地があれば貢献できそうですよね?
もともと生産されている小麦の輸出拡大が見込めれば、アルゼンチン共和国の収入が増えて、国が潤うのでは?!と夢をみてしまいますが、今年アルゼンチンでは、水不足のため小麦の生産を控える農家が多いそう。
この一大事を利用した小麦による経済改善は難しいようです。

石油がない?!地続き問題で品物が無くなる?

また6月現在、ブエノスアイレスで話題に上がっているのがガゾリン不足。
アルゼンチンペソの暴落により、世界各地で上昇中のガソリン。
アルゼンチンでは外貨を利用すると他国よりも安く手に入るそう。
これはアルゼンチンペソとドルのダブルレートによる弊害(※2)ですが、地続きの近隣諸国からガソリンを買いに来るため、国内のガソリン需要が満たされずに不足が起きています。
(※2)2022年政権下のアルゼンチンでは、お金を変える場合(アルゼンチンペソ→ドル、ドル→アルゼンチンペソ)銀行の法定金額とブルーレート(闇)と呼ばれる価格では大きく違います。
アルゼンチンの広大な農地を耕すトラクターはもちろん、出荷された野菜をセントロ(首都ブエノスアイレスの中心地)に運ぶためにもガソリンは必要です。インフレの影響がさまざまな形で国内の問題に飛び火しています。
また大陸独特の容易い国境越えは、ガソリンの買い付けだけではなく、病院や教育が無料のアルゼンチンに生活の厳しい人々を集めます。
2023年の大統領選挙に向けて、今後どう政治が動いていくのか目が離せません。

まとめ

アルゼンチンは、日本の外務省が発表している危険レベルでは常にレベル1を維持する国です。
ブエノスアイレス市及び、周辺都市では、銃を使用した強盗や殺人、誘拐などが多発している危険地域もあり、コロナによって失業者が増え、日々のインフレにより犯罪も多発。道端でベットマットを敷き、寝ている浮浪者も近年ますます増えています。
ぜひ旅行に来る際は、十分な情報集めと気持ちを引き締めて過ごしてくださいね。
「え?!行きたいけど怖いじゃーん。」という方。
有料になりますが滞在サポートや現地情報の提供、観光同行など行なっています。
必要でしたらこちらからお問合せください。(https://akanetanguera.com/contacto/
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