こんにちは。AKANEです。
AKANEの子育てしながらタンゴ選手権(2)は(1)の続きです。
まだの方は「AKANEの子育てしながらタンゴ選手権(1)」をみてくださいね。
タンゴ世界選手権への出場
オンライン世界選手権が行われた2020年は参加を見送りましたが、2021年市内はリアル出場が可能だったので、私たちも参加しました。
2017年の参加から今年で4回目です。
例年は、出場前の楽屋で海外ツアーにいっていたダンサーの友人や海外からこの日のために訪れるタンゴ仲間と再会をアブラッソ(抱擁)で喜び合う日。
「久しぶり」「どうしてた?」「頑張ってね!」「おめでとう!」と、あちこちでアブラッソし合う仲間にテンションも上がり、出場への期待が高まる瞬間でもあります。
残念ながら2021年は、最小限の接触ということで自分の踊る組みとその前後の組みの人としか会うことはなく、またアルゼンチンとは思えない手際の良さでタンゴ選手権は淡々と進行していました。
応援席も隔離した席が確保できる最小の定員数。
また事前の予約が必要で「応援に行くよ!」と言ってくれても席が取れず、同じブエノスアイレス市内にいながらネット鑑賞になったり。
盛り上がりに欠ける状況だったかもしれません。
ただ、こんな時期でもタンゴフェスティバルを企画・開催してくださった運営委員会に本当に感謝です。
私たちも息子の体調によって当日まで出場できるかわかりませんでしたが、家族の協力があり無事出場できました。
準備はハプニング続きで、ドレスが到着したのも出発する直前、主人も病院の息子の付き添いを終えて駆けつけるようなドタバタな朝でした。
↑現地在住タンゴ女子の頼れるお姉様アナさんが、グランマエストロのピペさんとエキシビジョンをしたので夜のミロンガへ外出。
私たちにとってのタンゴと子育て
主人の実家と自宅が100メートルも離れていないので、毎日実家に遊びに行きます。
アルゼンチンは子供好きな人が多く、実家の家族はもちろん、近所のお店や街ゆく人に優しい声をかけてもらいながら、息子もわたしものびのび生活しています。
わたし達が友人だった時から共通の好きなこと、大切なものであったタンゴは、結婚して子供が生まれてからも変わらず、夫婦共通の“楽しみ“です。
彼はタンゴを踊りますが、職業ダンサーではなくサラリーマン・ミロンゲーロ。
彼が平日の夜に友人とミロンガへ行きたい時は、わたしが家で息子とお留守番です。もちろん、その反対もあります。
いろいろな子育ての方針がありますが、我が家は今のところミロンガに子供を連れて行かない方針。平日ミロンガに行きたい時は1人ずつ。
子供がいなかった頃に比べると、夜のミロンガへ行く回数は減りましたが、それでも行ける状況と行くことに抵抗がない環境はとても快適です。
そして、休日に息子を預けてプラクティカへ行くのは、どこに出掛けるよりも楽しいデートの時間。
↑ウッシーナ・デ・アルテの会場。今年はコロナの予防接種も同じ場所で実施中。
タンゴ世界選手権で踊れる奇跡
タンゴフェスティバルがブエノスアイレス市をあげての特大イベントかというと、そうでもありません。
街には、タンゴに興味のない人やタンゴを好きではない人もいます。
タンゴフェスティバルの存在を知らないアルゼンチン人もたくさんいます。
こちらに来る前は、この街のすべての人がタンゴを踊ると思っていましたが、タンゴはブエノスアイレスでとても小さなコミュニティの1つです。
このコミュニティの中に職業ダンサーやミロンゲーロがいて、タンゴ選手権に興味のない人もいますし、否定的な人もいます。
タンゴ選手権に参加するのは、ブエノスアイレスでタンゴを踊る人の中でもごく僅かな人。
「世界選手権に出場する」ということが夢の一つだったわたしにとって、タンゴを習い始めて間もなかった主人をうまく丸め込んで出場し、そのまま今も出場し続けていることは奇跡のようなことです。
今年は特に、息子が入院中だったこともあり本当に難しい状況でした。
それでも以前は、順位が上がらない、予選が通過できない、と選手権の結果にひどく悔しい気持ちになったり、苦しくなることもありました。
ペアダンスにありがちですが、相手を責めてしまったり、他のペアを羨ましく思うこともありました。
けれども今は、とても穏やかにタンゴの練習に励めています。
いつかファイナルの壇上に上がりたいという野望は持ちつつ、私たちにとって世界選手権への出場はライフワーク。「生涯をかけて行う活動」です。
第三者の評価に、大切な人や努力した時間を否定して傷つくよりも、夢中になっている「今」この瞬間を楽しむという考え方。
どんな先生がいいか、YouTube を見て研究したり、
レッスンの後に今日のクラスについてお互いの意見を交換したり、
ドレスをどうしようかと考えて探しまわったり、調整して作ってもらったり、
大会後にビデオを見ながら2人で課題についたり話したり。
タンゴを軸に2人が時間を共有できる、毎日の生活の中にタンゴがあること。
その「今」をわたしたちはとても大切にしています。
↑レッスンの帰り道。オベリスコがハカランダの紫色に染まっている。
私たちのこれから
息子は、私たちが世界選手権出場した日の夜、原因不明だった病が「小児関節炎」という難病だったことが判明しました。
完治には時間がかかりますが、自宅療養ができるようになったので、気長に治療に励んでいます。
命に関わる可能性は低いとのことで、神様に本当に感謝です。
わたし達にとって、タンゴ以外のことも人生のとても大切な時間です。
大切な人と過ごすたわいもない日常、仕事での学びや子供と同じ目線でいろいろなことを考えたり、感じたりする瞬間。海外生活の苦労や文化の違いだって、笑って一緒に乗り越えていく経験。
そういうことすべてが、今後の私たちの踊りに深みを増してくれたらいいな、と思います。
タンゴを通して出会った私たちがタンゴを踊りつづけることで多くを学び、進化していく姿、また未熟だった1つの家族がだんだん成長していく様子を今後も皆さんに応援してもらえたら幸いです。
これからもどうぞ、よろしくお願いします。
それでは、Chau Chau!